自伝。けじめ
毎日同じ事の繰り返しのようで、
それが、技術の向上につながる、
怒りながら、怒られながら、
修行の日々は続く。
ドラマ、「味いちもんめ」みたいに!
(そんなカッコいいもんではないですが……)
(実はこの頃、ちょっとした問題が発生し、
悩んでいる時期でした。)
ようやく料理人に目覚めかけた頃、ちょっとした出来事があった。
あまりにも筋の通らない話に、本気で腹がたった。
若かったから?
僕は、店を飛び出した。
気がついたら、サーキットに来ていた。
(よく、小説や映画なんかで、気がついたらここに来ていた。
なんて表現があるが、ま、そんなことはあり得ない。
あったら、危なくてしょうがない!
必ず、あそこに行こう!と、思って行ってるはずだ…
ま、あえてここでは……)
スタンドに座り、目の前を走る車を、ただただ見ていた。
オイルの焼ける匂い、タイヤのゴムの溶ける匂い、
マフラーからの爆音、どれもこれも心地の良いものだった。
結構長い時間、座っていたと思う。
帰りは暗かった。
なにかが吹っ切れた僕は、お店を辞めることにした。
大変お世話にはなったが、後悔はしていない。
ほんとだったら、何ヵ月か前に、辞める意思を
料理長に伝えなければならないが、
「僕が辞めて、社長や料理長が困ればえんや!
僕の方が正しいはず。」
そんなメッセージだった。
まあ、今から思えば、僕は間違っていた。
今まで、少し天狗になっていた。
僕が辞めても、代わりはいくらでもいる。
少し前にも書いたが、
「黒いからすも、白と言われれば白い」
そんな世界だ。
でも、これからの時代、そんな考えは通用しなくなれ!
そんな願いと、自由を求めて辞めたのかもしれない。
次の日、僕は先輩のMさんのお店に行った。
仕事を世話してもらうために。
Mさんは、ベテランの職人さんで、小さな料理やさんを
任されて、一人で切り盛りしていた。
Mさんに訳を話す。
怒られるかと思ったら、笑っていた。
そして、店の奥に電話をしに行った。
もちろん、当時は携帯などない。
しばらくしてもどって、
「○○亭、知ってるか~、料理長のYさんがお前に会いたいと言ってるわ~。」
そうなれば話は早い!
「今から行ってきます。」
すぐに会いに行った。
続く……
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