自伝(番外編)。 創作料理
これから先のお話、
「創作料理」
これが、キーワードになります。
創作料理、皆さんはどうお考えでしょう?
創作和食、創作フレンチあるいはイタリアン、
キッチン、ダイニング等々、飲食店の看板はバラエティーに飛び、
お店を選ぶ側の私たちを悩ませます。
一昔、いや、もう二昔になりますか、
あの頃は、このお店はなに屋さんか、看板を見れば
すぐにわかりました。
では、創作料理とはなにか?
ここからは、僕、個人的な意見と知識の中でのお話。
例えば、肉じゃがにカレー粉を入れたら
「肉じゃがのカレー風味」
冷奴にドレッシングをかけたら
「豆腐サラダ」
創作料理ですかね?
お店での話。
前に、お客さんに、
「甘鯛のかぶら蒸し」
をお出ししたところ、
「この料理は自分で考えられたんですか?
なんという創作料理ですか?」
と、訪ねられた事がありました。
「甘鯛のかぶら蒸し」日本料理の定番中の定番。
もちろん、ご存じない方をとやかく言っているわけではありません。
要するに、土台がしっかりしていれば、
料理なんて何でもありで、自分がよけりゃ、
あるいは、お客さんが満足していただければ言いわけです。
(ここから日本料理に絞ってお話を。)
日本料理の伝統にこだわりをもたなければ……
1990年頃の、日本料理専門誌に、
一流料理屋の四季の献立を、写真付で紹介している本があります。
ちょうど僕が2番手に上がった頃です。
そのなかのあるお店の献立に、
「日本料理を、洋食の器に盛り付けてみました。」
高級ホテルに店舗をかまえる高級料亭。
あるいは、京都の老舗料亭の献立に、
フォアグラ、キャビアが使われてます。
その当時、それは斬新なもので新鮮でした。
作る側も思いきった事でしょう。
この頃から、創作料理という言葉が使われるようになったと記憶しています。
折しもバルブ絶頂期、
成功した人々がこぞって飲食店に事業進出。
お店は増え、板前さんは引っ張りだこ!
板前さん不足がおこりました。
一方、料理人達は、日々、厳しい修行に絶え、
独立を目指すもの、一流料亭の料理長を目指すもの、
それぞれでした。
調理場の中では料理長の言うことが絶対!
黒いカラスも、「カラスは白い!」
と、言われれば、「はい、そうですね!!」
と、答えなければならない。
そんななか、自分ならこうするなとか、
こっちのやり方の方がいいのに、
自分の考えは口には出来ない。
早く自分を試してみたい!そう思う料理人。
そこに、お店を開きたいというオーナーさんが
料理人をスカウトにくるのだが、
たいてい、「自分の思うようにしてくれたらいい!」
と、言ってくる。
それどころか、「もっと新しいものを!
よそにはないものを!日本料理にこだわらなくてもいいから!」
という、希望が多かった。
スカウトされる料理人は、ベテランよりも、若い方がよい。
まだ柔軟性があり、将来性があるのと、人件費が安い。
若い人は、お店を任される事が嬉しい。
日本料理のからを破りたい!
と、思う料理人は多かったはず。
今と比べるとまだまだですが、
その当時もかなり情報があふれ、
テレビ、雑誌などで新しいものが沢山入って来ていました。
外国の食材も。
それでもまだ、日本料理店は日本料理店でした。
そして、バブルの崩壊。
客単価の高いお店(実力のないお店)は、
廃業に追い込まれます。
老舗も同様。
低価格競争の始まりです。
続く……
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