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自伝。  二年目

仕事も、慣れてくると要領をかますようになる。

ようするに、いかにしてサボるか……

まあ、あの頃はほとんど仕事に責任がなく、

頭数の一つにすぎない。

 

毎朝一番にする仕事は、お店の裏の掃除。

裏と言っても範囲が広い。

前日の夜に、ゴミを出す。ゴミ取りが回収。

その後の掃除。

あと、植木の水やり。

まともにしたら、30分かかる仕事。

毎日毎日繰り返し。

いやがおうにも、おおちゃくしたくなる。

30分かかる仕事、要領をかまし10分で。

そこから、近くの駄菓子屋さんへBダッシュ!

缶コーヒーと菓子パンを買って食べる。

駄菓子屋のおばちゃん、「奥に来て食べ!」と、かくまってくれた。

お店ではなかなか朝食にありつけなかったので、

こうして飢えをしのんだ。

  

昼からの一番の仕事。

午前中に行った出前の回収。

あこがれの高下駄を履くのを許された僕は、高下駄を履いて

大きな鉄の自転車に乗り、木で出来た大きな出前箱を

多い時には3段~4段積んで走った。

回収の多い日は、最短ルートを検索!

とにかく早く終わらせ、自動販売機の横で、缶コーヒーで一服。

当時は、どこにどんなメーカーの自動販売機があるか把握していた。

それでも、月日が経つと 

それなりに、仕事も憶えるようになった。

出し巻きは、猛特訓した。

毎朝毎朝、怒られながら!

 

1年が過ぎ2年目になると、仕事の段取りも把握してきた。

後輩が出来ると、教えることも多くなる。

後輩がミスをすると、「教え方が悪い」と、

僕が怒られる。ま、そのとうり…

怒られる回数が増える、だんだんあてにされてきたんだろう。

 

包丁を使う機会も多くなり、それまでヘタだった箸の持ち方も上手くなった。

「料理屋で仕事してる!!」

この頃から実感が出てきた。

一番僕を可愛がってくれた人、それが、あの怖い怖い寮長Sさん。

出来る限り自分のそばに置き、僕に仕事を教えてくれた。

溶け込んでいくとけっこう優しい!

いや、僕にだけ優しかった。

冗談を言い合う事もあった。

よく笑ってくれた。

僕と同期の二人を嫌った。

「あいつらもお前も同期や!高卒、中卒なんか関係ない!!」

そう言ってくれた。

「俺がお前に仕事を教えちゃる。」

Sさんにしてみれば、同じ年に入った物はみな同期。

年も学歴も関係ない。

でも、寮に帰れば相変わらず怖い人……

寮で話をすることはほとんどなかった。

  

そんな寮長Sさんがお店をやめることに……

もともと5年頑張って、また次のお店に移り、

いずれ地元で商売(独立)をする、という目標があるみたいだった。

  

Sさん、最後の日の夜。

 

寮に帰ると、突然、「○○、一緒に風呂はいろや~!」

と、Sさん。

「え、僕ですか~?」

「おう!!」

と、言う事で、お風呂に。

僕も驚いたが、周りのみんなはもっと驚いていた……

「お前と風呂入るの、最初で最後やな~」

緊張して、それぐらいしか会話はおぼえていない。

   

厳しくて怖いSさんがいなくなった……。

   続く…

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コメント

Bダッシュ・・・( ´艸`)プププ

Bダッシュに反応するとは… ~~

なんか涙が出てきました。
Sさん役は「阿部寛」でお願いします!!

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